数学の参考書選びで名前を聞かない日はないほど定番の「チャート式」。書店に行くと白・黄色・青・赤と色違いで並んでいて、どれを買えばいいのか迷ってしまう人は多いと思います。
この記事では、チャート式の種類ごとの違いから、自分の学力や志望校に合った一冊の選び方、さらに効果的な使い方まで、教育アドバイザーの視点でわかりやすく解説していきます。数学が苦手だと感じている人も、この記事を読み終える頃には自分に合ったチャート式が見えてくるはずです。
チャート式とは?対象になる学習者のタイプ
チャート式は数研出版が発行している数学の参考書シリーズで、教科書レベルの基礎から大学入試の応用問題まで幅広くカバーしているのが特徴です。長年にわたって全国の高校で採用されており、書店でも数学参考書コーナーの中心に置かれています。ただし「有名だから」という理由だけで選んでしまうと、内容が難しすぎたり簡単すぎたりして続かなくなることもあります。まずはチャート式がどんな学習者に向いているのかを整理しておきましょう。
高校の数学についていきたい人
チャート式は教科書の内容を補いながら理解を深めることを目的に作られています。授業だけでは理解しきれなかった単元も、チャート式の丁寧な解説を読むことで整理しやすくなります。とくに例題ごとに解き方の手順が示されているため、「なぜこの解法を使うのか」という考え方の部分まで確認できるのが強みです。
学校の授業の予習・復習用として使う場合は、自分が使っている教科書と難易度が近いシリーズを選ぶことが大切です。教科書よりも極端に難しいものを選んでしまうと、かえって理解が追いつかなくなってしまいます。まずは今の授業内容がどの程度理解できているかを振り返り、無理のないレベルから始めることをおすすめします。学校によっては指定の教材としてチャート式が配布されている場合もあるので、その場合はまず配布されたシリーズを使いこなすことを優先するとよいでしょう。
大学受験に向けて基礎を固めたい人
大学入試を意識し始めた段階では、基礎から応用までを一冊で網羅できる点がチャート式の大きな魅力になります。入試問題は教科書レベルの知識を組み合わせて出題されることが多いため、基礎の抜け漏れがあると応用問題でつまずきやすくなります。チャート式では例題・練習問題・章末問題という段階構成になっているシリーズが多く、基礎の定着から少しずつ難度を上げていく学習がしやすくなっています。
受験勉強を始めたばかりの時期は、いきなり難しいシリーズに手を出すのではなく、自分の今の実力に合ったレベルから取り組むことが遠回りに見えて実は近道になることが多いです。志望校が固まっていない場合は、まず標準的なレベルのシリーズで基礎を固め、志望校が決まった段階で必要に応じてレベルを調整していく進め方が現実的です。
数学に苦手意識がある人
数学に苦手意識を持っている場合、解説が丁寧で図解が多いシリーズを選ぶことが挫折を防ぐポイントになります。チャート式の中には、公式の使い方や計算の途中式まで細かく示しているシリーズがあり、独学でも理解を進めやすい作りになっています。苦手意識が強いうちは分厚い参考書を見るだけで気持ちが萎えてしまうこともあるため、まずは薄めの単元別冊子や基礎レベルのシリーズから始めて、達成感を積み重ねていく方法が向いています。
わからない問題があったときは、解答を見る前に自分の考え方を書き出してみると、どこでつまずいているのかが見えやすくなります。焦らず一冊を最後までやり切ることを目標に設定すると、数学への苦手意識も少しずつ和らいでいきます。
チャート式の種類と難易度の違い(白・黄色・青・赤)
チャート式には難易度別に複数のシリーズがあり、色によってカバーする範囲や対象となる学力層が異なります。この違いを理解しないまま書店で見た目や評判だけで選んでしまうと、レベルが合わずに挫折してしまう原因になります。ここでは代表的な4色それぞれの特徴を、対象となる学力層と一緒に整理していきます。
白チャートの特徴
白チャートは数学の基礎固めに特化したシリーズです。教科書レベルの内容を中心に、公式の使い方や基本的な計算問題が丁寧に解説されています。数学に苦手意識がある人や、これから受験勉強を始める人が最初の一冊として選ぶことが多いシリーズです。
難関大学の入試問題には対応しきれない部分もありますが、基礎を確実に固めるという目的においては非常に有効です。日東駒専クラスや共通テストの基礎的な設問であれば、白チャートの内容をしっかり定着させることで対応できる範囲が広がります。まずは基礎に不安がある単元から取り組み、教科書の内容と照らし合わせながら進めていくとよいでしょう。
黄色チャートの特徴
黄色チャートは白チャートよりもやや発展的な内容を含む標準レベルのシリーズです。教科書の内容に加えて、入試の基本的な問題パターンまでカバーしているため、多くの高校で標準的な副教材として使われています。共通テストの対策から、成蹊大学や成城大学、明治学院大学といったGMARCHクラスの入試まで幅広く対応できる懐の深さが特徴です。
基礎はある程度できているものの、応用問題への対応に不安がある人に向いています。例題を一通り解いたあとは、練習問題で類題に触れることで、パターンを自分の力で使いこなせるようになっていきます。
青チャート・赤チャートの特徴
青チャートは難関大学の入試を見据えた応用力を養うシリーズで、早稲田大学や慶應義塾大学、旧帝大クラスを目指す人に選ばれることが多いです。例題のレベルが高く、思考力を問う問題も多く含まれているため、基礎が固まっていない状態で使うと消化不良を起こしやすい点には注意が必要です。
一方、赤チャートはさらに難易度が高く、東京大学や京都大学といった最難関大学を目指す人向けに作られています。どちらのシリーズも、白チャートや黄色チャートで基礎を固めたうえで取り組むことで効果を発揮します。いきなり青チャートや赤チャートから始めるのではなく、自分の現在地を正確に把握してから手を伸ばすことが遠回りを避けるコツです。
| 色 | 難易度の目安 | 対応する大学の目安 |
|---|---|---|
| 白チャート | 基礎 | 日東駒専クラス・共通テスト基礎 |
| 黄色チャート | 標準 | GMARCHクラス・共通テスト標準 |
| 青チャート | 応用 | 早慶・旧帝大クラス |
| 赤チャート | 最難関 | 東京大学・京都大学クラス |
上の表はあくまで目安です。実際には志望校の出題傾向や自分の得意・不得意な単元によって最適なレベルは変わってくるため、次の章で紹介する選び方のポイントも合わせて確認してみてください。
自分に合ったチャート式の選び方のポイント
色ごとの違いがわかったところで、次は実際にどう選べばよいのかを具体的に見ていきます。志望校のレベルだけで選んでしまうと、今の実力とかけ離れていて挫折してしまうこともあるため、複数の視点から自分に合った一冊を見極めることが大切です。
現在の学力レベルから逆算する
チャート式を選ぶ際にまず確認したいのが、今の自分の学力がどの段階にあるかという点です。学校の定期テストで平均点を大きく下回ることが多い場合は、白チャートのような基礎重視のシリーズから始めるのが安全です。逆に、定期テストでは高得点が取れているものの模試になると点数が伸び悩むという場合は、黄色チャートや青チャートで応用力を鍛える段階に来ている可能性があります。
書店で実際にページを開いてみて、例題の解説を読んで無理なく理解できるかどうかを確認するのも有効な方法です。背伸びして難しいシリーズを選ぶよりも、少し簡単に感じるくらいのレベルから始めて着実にステップアップしていく方が、結果的に学力の伸びは大きくなりやすいです。
志望校の入試レベルから選ぶ
志望校がすでに決まっている場合は、その大学の入試問題の難易度に合わせてシリーズを選ぶ方法もあります。例えば法政大学や日本大学といった中堅私立大学を目指す場合は黄色チャートで十分に対応できることが多く、早稲田大学の理工学部のような応用力が問われる学部を目指す場合は青チャートまで踏み込む必要が出てきます。
ただし、志望校のレベルが高いからといって、基礎が固まっていない状態でいきなり難しいシリーズに取り組むのは効率がよくありません。過去問を一度確認してみて、どの程度の基礎知識が問われているのかを把握したうえで、必要なレベルのシリーズを選ぶようにしましょう。
継続できる分量・解説のわかりやすさで選ぶ
どれだけ評判の良いシリーズでも、最後まで続けられなければ意味がありません。チャート式は単元ごとの分量が多いシリーズもあるため、一冊をやり切るイメージを持てるかどうかも選ぶ際の重要な基準になります。解説の文章量や図の多さ、字の大きさなど、実際に手に取ったときの読みやすさも人によって好みが分かれる部分です。以下のような点を書店で確認してから購入すると、失敗が少なくなります。
- 例題の解説が自分にとって読みやすい文章量になっているか
- 図やグラフが単元の理解を助ける形で使われているか
- 練習問題の量が自分の学習ペースに合っているか
上記のポイントは、実際に数ページ読んでみないとわからない部分が多いです。可能であれば書店で中身を確認してから購入することをおすすめします。
チャート式の効果的な使い方
自分に合ったチャート式を選んだあとは、使い方次第で学習効果が大きく変わってきます。ただ漫然と最初から最後まで解いていくのではなく、目的に応じた使い方を意識することで、限られた時間の中でも効率よく力をつけることができます。
例題を中心に繰り返し解く
チャート式を使ううえで基本になるのが、例題を繰り返し解いて解法パターンを身につけるという進め方です。一度解いて理解した気になっていても、時間が経つと同じ問題でつまずいてしまうことは珍しくありません。
1回目は解説を読みながら理解し、2回目は解説を見ずに自力で解いてみて、3回目は間違えた問題だけをもう一度解き直すというように、段階を分けて繰り返すと定着しやすくなります。すべての例題を同じ回数解く必要はなく、すぐに解けた問題は回数を減らし、苦手な問題には時間をかけるというメリハリをつけることが効率的な学習につながります。
単元ごとに理解度を確認する
チャート式を一冊通しで進めていく中で、単元ごとに理解度を確認する時間を作ることも大切です。一つの単元を終えたら、章末問題や別の教材の類題を使って、その単元の内容がきちんと身についているかをチェックしてみましょう。理解が不十分なまま次の単元に進んでしまうと、あとになって基礎の抜け漏れが原因でつまずくことがあります。特に数学は単元同士のつながりが強い教科のため、一つ前の単元の理解が次の単元の土台になるという意識を持って学習を進めることが重要です。
模試や過去問と並行して活用する
チャート式は網羅性が高い分、一冊だけを黙々と進めていると実戦感覚が身につきにくいという面もあります。模試や志望校の過去問に取り組む中で出てきたわからない問題を、チャート式に戻って該当する単元を確認するという使い方も効果的です。
アウトプットとインプットを行き来しながら学習することで、知識が単なる暗記ではなく実際に使える力として定着していきます。模試の結果が返ってきたときは、間違えた問題の単元をチャート式で復習し、同じような問題が出たときに対応できるようにしておくとよいでしょう。
チャート式と併用したい学習方法・相談先
チャート式は非常に完成度の高い参考書ですが、独学だけでは進め方に迷ってしまう場面も出てきます。最後に、チャート式の学習効果をさらに高めるための併用方法や、つまずいたときの相談先について紹介します。
学校の先生に質問する
チャート式を解いていてわからない問題が出てきたときは、まず学校の数学の先生に質問してみるのが身近で確実な方法です。自分がどこでつまずいているのかを言葉にして説明する過程で、理解が整理されることも多くあります。放課後の質問対応をしている学校も多いため、わからない問題をためこまずにその都度質問する習慣をつけておくと、チャート式を最後まで進めやすくなります。
個別指導塾を活用する
独学でのペース管理が難しい場合は、個別指導塾を活用してチャート式の進め方を相談するという方法もあります。例えば東進ハイスクールや個別教室のトライ、河合塾のような大手予備校・個別指導塾では、生徒の志望校や現在の学力に合わせて、チャート式のどの範囲をどのペースで進めるべきかをアドバイスしてもらえることがあります。
自分一人では計画を立てにくいという人は、こうした塾のカリキュラムに沿ってチャート式を併用する形で学習を進めるのも一つの方法です。
オンライン学習サービスを取り入れる
近年は、スタディサプリのようなオンライン学習サービスを併用する人も増えています。チャート式で理解しきれなかった単元の解説動画を見ることで、文字だけでは伝わりにくかった部分を補うことができます。
通学時間やちょっとしたすきま時間を使って動画で復習し、まとまった時間が取れるときにチャート式で問題演習を行うというように、それぞれの学習方法の得意な部分を組み合わせることで、限られた時間を有効に使うことができます。
まとめ
チャート式は白・黄色・青・赤という4色のシリーズがあり、それぞれ対象となる学力層や志望校のレベルが異なります。選ぶ際は志望校のレベルだけでなく、今の自分の学力や継続のしやすさも含めて総合的に判断することが大切です。選んだあとは例題を繰り返し解き、単元ごとの理解度を確認しながら、必要に応じて先生や塾、オンライン学習サービスも併用してみてください。自分に合った一冊を最後までやり切ることが、数学の力を着実に伸ばす一番の近道になります。
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