比例・反比例の文章題とは
中学1年生で学習する比例と反比例は、数学の基礎となる重要な単元です。特に文章題になると、どのように式を立てればよいのか分からないという悩みを持つ生徒が非常に多くなります。比例・反比例の文章題は、日常生活の様々な場面を数学的に表現する力を養うものであり、高校数学や理科の学習にもつながる大切な内容となっています。
比例・反比例の基本的な考え方
比例と反比例の基本的な違いを理解することが、文章題を解く第一歩となります。比例とは、一方の量が2倍、3倍になると、もう一方の量も2倍、3倍になる関係のことです。例えば、1個100円のりんごを買う場面を考えてみましょう。2個買えば200円、3個買えば300円と、個数が増えるにつれて金額も同じ割合で増えていきます。
一方、反比例は一方の量が2倍、3倍になると、もう一方の量が1/2、1/3になる関係を指します。例として、120kmの道のりを進む場面を想像してください。時速60kmで走れば2時間かかりますが、時速120kmなら1時間で到着します。速さが2倍になると、かかる時間は半分になるという関係です。
この2つの関係を式で表すと、比例はy=ax(aは比例定数)、反比例はy=a/x(aは比例定数)となります。文章題では、問題文からこの関係を読み取り、適切な式を立てることが求められます。栄光ゼミナールや明光義塾などの学習塾でも、この基本概念の理解を最も重視して指導しています。
比例と反比例を見分けるポイントは、2つの量の変化の仕方に注目することです。片方が増えたときにもう片方も増えるなら比例、片方が増えたときにもう片方が減るなら反比例の可能性が高いと判断できます。ただし、これだけでは不十分な場合もあるため、次の項目で詳しく解説していきます。
文章題で問われる力とは
比例・反比例の文章題では、単に公式を暗記するだけでなく、実際の場面を数学的にモデル化する力が試されます。これは大学入試の数学でも必要となる重要な能力です。早稲田大学や慶應義塾大学などの難関大学の入試問題でも、基礎となるのはこのような思考力です。
文章題を解く際には、まず問題文に登場する2つの量が何であるかを正確に把握する必要があります。次に、その2つの量がどのような関係にあるのかを判断します。さらに、求められているものは何か、与えられている条件は何かを整理することが大切です。
具体的な数値を当てはめて考えるという方法も効果的です。例えば「xが2のときyが6、xが3のときyが9」というように、実際の数値で関係を確認してみることで、比例か反比例かの判断がしやすくなります。個別指導塾のトライや家庭教師のサービスでも、この具体化の手法を重視した指導が行われています。
また、文章題では単位に注意することも重要です。速さの問題であれば「km/時」、面積の問題であれば「cm²」など、単位を意識することで計算ミスを防ぐことができます。単位の理解は理科の学習でも必須となる内容ですので、この機会にしっかりと身につけておくことが望ましいといえます。
中学1年生でつまずく理由
多くの中学1年生が比例・反比例の文章題でつまずく最大の理由は、抽象的な文字式に慣れていないことにあります。小学校の算数では具体的な数値を使った計算が中心でしたが、中学数学ではxやyといった文字を使って一般的な関係を表現する必要があります。この移行期に戸惑う生徒が非常に多いのです。
また、問題文から必要な情報を取り出す力が十分に育っていないことも理由の一つです。文章が長くなると、どこに注目すればよいのか分からなくなってしまいます。Z会や進研ゼミなどの通信教育教材では、段階的に問題文を読み解く練習ができるように工夫されています。
さらに、比例定数の意味を理解できていないケースも見られます。比例定数は2つの量の関係を表す重要な数値ですが、これが何を意味するのか、どのように求めるのかが曖昧なまま先に進んでしまう生徒もいます。例えば「yがxに比例し、x=3のときy=12」という問題では、比例定数は12÷3=4となりますが、この計算の意味を理解することが大切です。
これらのつまずきポイントは、適切な練習と理解によって必ず克服できるものです。次の章からは、具体的な解き方のコツを詳しく解説していきます。
比例の文章題の解き方
比例の文章題を確実に解けるようになるためには、問題のパターンを理解し、段階的なアプローチを身につけることが重要です。ここでは、基本的な解き方から応用問題まで、具体例を交えながら丁寧に説明していきます。実際の入試問題や定期テストでよく出題される形式も紹介しますので、実践的な力を養うことができます。
比例の式の立て方
比例の文章題で最も重要なステップは、正しい式を立てることです。比例の関係は「y=ax」という形で表されますが、この式を立てるためには、まず問題文から2つの変数を見つける必要があります。一般的には、xを独立変数(自分で決められる量)、yを従属変数(xの値によって決まる量)として設定します。
具体例を見てみましょう。「1冊150円のノートをx冊買ったときの代金をy円とする」という問題では、ノートの冊数が増えると代金も増えるという比例関係があります。1冊なら150円、2冊なら300円、3冊なら450円となるため、y=150xという式が立てられます。この150が比例定数であり、ノート1冊あたりの値段を表しています。
比例定数を求める問題もよく出題されます。例えば「yがxに比例し、x=4のときy=20である。比例定数を求めよ」という問題では、y=axにx=4、y=20を代入して、20=a×4となり、a=5と求められます。この代入して比例定数を求めるという手順は、様々な問題で使用される基本テクニックです。
東京個別指導学院やスクールIEなどの個別指導塾では、生徒一人ひとりの理解度に合わせて、このような式の立て方を繰り返し練習させています。焦らず、確実に手順を踏むことが大切です。
典型的な比例の文章題パターン
比例の文章題には、いくつかの典型的なパターンがあります。まず最も基本的なのは、先ほど紹介した買い物の問題です。「1個a円の商品をx個買ったときの代金y円」という形式は、定期テストでも頻出です。この場合、y=axという式がそのまま成り立ちます。
次によく見られるのは速さ・距離・時間の関係を扱った問題です。例えば「時速60kmで走る車がx時間走ったときの距離をy kmとする」という問題では、y=60xとなります。速さが一定であれば、時間に比例して距離が増えるという関係です。理科の物理分野でも同様の考え方を使用するため、ここでしっかり理解しておくことが重要です。
また、単位量あたりの大きさに関する問題もよく出題されます。「1mの重さが200gのひもがあり、このひもxmの重さをygとする」という問題では、y=200xとなります。この形式の問題は、小学校で学習した単位量あたりの考え方を発展させたものです。
| 問題のタイプ | 具体例 | 式の形 |
|---|---|---|
| 買い物 | 1個100円の商品をx個 | y = 100x |
| 速さと距離 | 時速50kmでx時間 | y = 50x |
| 単位量あたり | 1m 150gのひもxm | y = 150x |
| 面積 | 底辺10cm、高さxcmの三角形 | y = 5x |
上記の表のように、問題のタイプごとに式の形を理解しておくと、初見の問題でも対応しやすくなります。河合塾や駿台予備学校などの大手予備校でも、パターン認識を重視した学習方法が推奨されています。
実際の問題演習
それでは、実際の問題を解いてみましょう。問題1「1Lの重さが0.8kgの油がある。この油xLの重さをykgとして、yをxの式で表しなさい。また、x=5のときのyの値を求めなさい」という問題を考えます。
まず、油の量が増えると重さも増えるので、これは比例の関係です。1Lで0.8kgということは、比例定数は0.8となり、y=0.8xという式が立てられます。次に、x=5を代入すると、y=0.8×5=4となり、5Lの油の重さは4kgであることが分かります。
問題2「yはxに比例し、x=6のときy=18である。x=10のときのyの値を求めなさい」という問題では、まず比例定数を求める必要があります。y=axに代入して、18=a×6より、a=3となります。したがって、比例の式はy=3xです。x=10を代入すると、y=3×10=30となります。
このように、段階的に考えることが大切です。①比例の関係を確認する、②比例定数を求める、③式を立てる、④求める値を計算する、という手順を踏むことで、確実に正解にたどり着けます。SAPIX中学部や早稲田アカデミーなどの進学塾では、このような解法のプロセスを重視した指導が行われています。
練習問題を数多くこなすことで、自然と解き方が身についていきます。最初は時間がかかっても構いませんので、丁寧に解く習慣をつけることが上達への近道です。
グラフを使った理解
比例の関係はグラフで視覚的に理解することも非常に効果的です。比例のグラフは原点を通る直線となり、この直線の傾きが比例定数を表します。例えば、y=2xのグラフとy=3xのグラフを比べると、y=3xの方が傾きが急になります。
グラフを描く際のポイントは、原点(0,0)を必ず通ることです。これは比例の定義から必然的に導かれる性質です。x=0のとき、y=a×0=0となるためです。また、もう1点を正確に取ることで、直線を引くことができます。例えば、y=2xであれば、x=1のときy=2となるので、点(1,2)を取ります。
グラフから式を求める問題も出題されます。グラフ上の点が与えられている場合、その座標を式に代入することで比例定数を求めることができます。例えば、原点を通る直線が点(4,12)を通っている場合、y=axに代入して12=a×4より、a=3となり、y=3xという式が得られます。
視覚的な理解は、数式だけでは分かりにくい関係性を明確にしてくれます。スタディサプリや東進ハイスクールの映像授業でも、グラフを使った解説が多く取り入れられており、理解を深めるのに役立ちます。自分でグラフを描いてみる練習も、ぜひ取り入れてください。
反比例の文章題の解き方
反比例は比例と並んで重要な概念ですが、イメージがつかみにくく苦手とする生徒が多い分野です。しかし、日常生活の中には反比例の関係が数多く存在しており、具体例を通して理解することで、確実にマスターすることができます。ここでは、反比例特有の考え方と、文章題を解くための実践的なテクニックを紹介します。
反比例の式の立て方
反比例の関係はy=a/xという式で表されます。この式の意味を理解することが、反比例の文章題を解く上での鍵となります。反比例では、xの値が2倍になるとyの値は1/2になり、xの値が3倍になるとyの値は1/3になるという関係があります。
具体例として、「面積が24cm²の長方形の縦の長さをxcm、横の長さをycmとする」という問題を考えてみましょう。長方形の面積は縦×横で求められるので、x×y=24という関係が成り立ちます。これを変形すると、y=24/xとなり、反比例の式が得られます。縦の長さが2倍になると、面積を一定に保つためには横の長さを半分にしなければならないという関係です。
反比例定数aを求める方法は、比例の場合と同様に与えられた値を代入することです。例えば「yはxに反比例し、x=3のときy=8である」という問題では、y=a/xにx=3、y=8を代入して、8=a/3となります。両辺に3をかけて、a=24と求められます。したがって、反比例の式はy=24/xとなります。
代々木ゼミナールや四谷学院などの予備校では、この基本的な式の変形を徹底的に練習させています。最初は難しく感じるかもしれませんが、繰り返し練習することで必ず身につきます。
反比例の文章題の特徴
反比例の文章題には、積が一定になるという特徴があります。これは反比例の定義から導かれる重要な性質です。y=a/xという式をx×y=aと変形すると、xとyの積が常にa(反比例定数)になることが分かります。この性質を利用して、問題を解くことができます。
典型的な反比例の問題としては、速さ・距離・時間の関係があります。例えば「120kmの道のりを時速xkmで走ったときにかかる時間をy時間とする」という問題では、距離=速さ×時間の関係から、120=x×yとなり、y=120/xという反比例の式が立てられます。速さが速くなれば時間は短くなるという、日常的にも理解しやすい関係です。
また、仕事量に関する問題もよく出題されます。「ある仕事をx人で行うと、1人あたりy時間かかる。全体の仕事量が60時間分である」という問題では、x×y=60となり、y=60/xという反比例の式になります。人数が増えれば1人あたりの時間は減るという関係です。
| 問題のタイプ | 具体例 | 式の形 |
|---|---|---|
| 面積一定 | 面積24cm²の長方形 | y = 24/x |
| 速さと時間 | 120km進むのにx km/時 | y = 120/x |
| 仕事量 | 60時間分の仕事をx人で | y = 60/x |
| 濃度 | 60gの食塩をx gの水に溶かす | y = 60/x |
上記の表から分かるように、反比例の問題には「全体量が一定」という共通点があります。この点に注目することで、問題を見分けやすくなります。臨海セミナーや栄光ゼミナールの教材でも、このパターン分類が重視されています。
反比例の実践問題
それでは、具体的な問題を解いてみましょう。問題1「面積が48cm²の長方形がある。縦の長さをxcm、横の長さをycmとして、yをxの式で表しなさい。また、x=6のときのyの値を求めなさい」という問題を考えます。
長方形の面積は縦×横なので、x×y=48という関係が成り立ちます。これをyについて解くと、y=48/xとなります。次に、x=6を代入すると、y=48/6=8となり、縦の長さが6cmのとき、横の長さは8cmであることが分かります。確認として、6×8=48となり、確かに面積が48cm²になっています。
問題2「yはxに反比例し、x=4のときy=15である。x=10のときのyの値を求めなさい」という問題では、まず反比例定数を求めます。y=a/xにx=4、y=15を代入して、15=a/4より、a=60となります。したがって、y=60/xという式が立てられます。x=10を代入すると、y=60/10=6となります。
このように、手順を確実に踏むことが大切です。①反比例の関係を確認する、②反比例定数を求める、③式を立てる、④求める値を計算する、という流れは比例の場合と同じです。ベネッセの進研ゼミや学研の教材でも、この手順を繰り返し練習できるようになっています。
反比例の計算では分数が出てくることが多いため、分数の計算に慣れることも重要です。約分を忘れずに行い、答えを最も簡単な形で表すようにしましょう。
反比例のグラフの特徴
反比例のグラフは、比例のグラフとは大きく異なります。反比例のグラフは双曲線と呼ばれる曲線になり、x軸とy軸には決して交わりません。この特徴的な形を理解することで、グラフから反比例の関係を見抜くことができます。
反比例のグラフを描く際は、いくつかの点を取って滑らかな曲線で結びます。例えば、y=12/xのグラフを描く場合、x=1のときy=12、x=2のときy=6、x=3のときy=4、x=4のときy=3、x=6のときy=2、x=12のときy=1というように、複数の点を計算して座標平面上にプロットします。
反比例のグラフには、x軸とy軸に近づくが交わらないという重要な性質があります。これは、xがどんなに大きくなってもyは0にはならず、また、xが0になることはできない(分母が0になってしまう)ためです。この性質は、数学だけでなく物理や化学の学習でも重要な概念となります。
グラフを見て反比例定数を求める問題も出題されます。グラフが点(2,6)を通っている場合、x×y=aより、2×6=12となり、反比例定数は12です。したがって、式はy=12/xとなります。東京大学や京都大学などの難関大学の入試問題でも、グラフと式の関係を理解していることが前提となる問題が多く出題されています。
比例・反比例を見分けるコツ
文章題を解く上で最も重要なスキルの一つが、問題が比例なのか反比例なのかを正確に判断することです。この判断を誤ると、いくら計算が正確でも正しい答えにはたどり着けません。ここでは、確実に見分けるための複数のアプローチと、実践的なチェックポイントを紹介します。
変化の方向で判断する
最も基本的な見分け方は、2つの量の変化の方向に注目することです。一方の量が増えたとき、もう一方の量も増えるなら比例、一方が増えたときにもう一方が減るなら反比例の可能性が高いといえます。ただし、この方法だけでは不十分な場合もあるため、必ず他の方法と組み合わせて確認する必要があります。
例えば「時速60kmで走る車がx時間走ったときの距離y km」という問題を考えましょう。時間が増えれば距離も増えるので、これは比例の関係です。一方、「120kmの道のりを時速x kmで走ったときにかかる時間y時間」という問題では、速さが速くなれば時間は短くなるので、反比例の関係となります。
この方法は直感的で分かりやすい反面、問題文が複雑になると判断が難しくなることがあります。そのため、数研出版の教科書や学習参考書では、複数の判断方法を組み合わせることが推奨されています。
また、具体的な数値を代入してみることも有効です。例えば、x=1、2、3と変化させたとき、yがどのように変化するかを確認します。xが2倍、3倍になったとき、yも2倍、3倍になれば比例、yが1/2、1/3になれば反比例と判断できます。この確認作業を習慣づけることで、判断ミスを大幅に減らすことができます。
式の形から判断する
問題文から関係式を立てられれば、式の形を見て判断することができます。比例の式はy=axという形、反比例の式はy=a/xまたはx×y=aという形になります。この基本形を覚えておくことが、正確な判断につながります。
例として、「1個a円の商品をx個買ったときの代金y円」という問題を考えます。代金は単価×個数で計算されるので、y=axという式になり、これは比例です。一方、「面積がa cm²の長方形の縦がx cm、横がy cm」という問題では、面積=縦×横より、a=x×yとなり、これを変形するとy=a/xとなるため、反比例と判断できます。
ここで重要なのは、問題文から正しく式を立てることです。「○○は○○に比例する」と明示されている場合は分かりやすいのですが、そうでない場合は、2つの量の関係を数式で表現する必要があります。市進学院や森塾などの地域密着型の塾では、この式の立て方を重点的に指導しています。
| 判断ポイント | 比例 | 反比例 |
|---|---|---|
| 変化の方向 | 両方とも増える/減る | 一方が増えると他方が減る |
| 式の形 | y = ax | y = a/x または xy = a |
| 比の関係 | y/x = 一定 | xy = 一定 |
| グラフ | 原点を通る直線 | 双曲線 |
上記の表のように、複数の観点から総合的に判断することで、確実に比例と反比例を見分けることができます。
キーワードから判断する
問題文に含まれる特定のキーワードも、判断の手がかりになります。ただし、キーワードだけで機械的に判断するのは危険ですので、必ず内容を理解した上で使用することが大切です。
比例を示唆するキーワードとしては、「1つあたり」「単価」「速さ一定」「時速○km」などがあります。例えば「1mあたり200gのひも」という表現があれば、長さに比例して重さが増えることが分かります。また、「時速60kmで走る」という表現があれば、速さが一定なので、時間に比例して距離が増えます。
一方、反比例を示唆するキーワードには、「面積一定」「全体の量が○○」「仕事の総量」などがあります。「面積が48cm²の長方形」という表現があれば、縦と横は反比例の関係になります。また、「120kmの道のり」という表現があれば、速さと時間が反比例することが予想できます。
駿台予備学校の参考書や、河合塾のテキストでは、このようなキーワード集が整理されています。ただし、繰り返しになりますが、キーワードは補助的な手がかりとして使い、必ず問題の内容を理解して判断することが重要です。機械的な判断は、応用問題で誤りにつながる可能性があります。
比や積で確認する方法
比例か反比例かを数学的に確認する方法として、比や積を調べるという方法があります。これは非常に確実な判断方法であり、難関高校の入試問題でも使える重要なテクニックです。
比例の場合、y/xの値(比)が常に一定になります。例えば、x=2のときy=6、x=3のときy=9であれば、6/2=3、9/3=3となり、比が一定(3)なので比例と判断できます。この一定の値が比例定数です。逆に、比が一定でなければ、比例ではないと判断できます。
反比例の場合は、x×yの値(積)が常に一定になります。例えば、x=2のときy=12、x=3のときy=8であれば、2×12=24、3×8=24となり、積が一定(24)なので反比例と判断できます。この一定の値が反比例定数です。
この方法の利点は、数値で客観的に判断できることです。問題文の解釈に迷ったときや、自分の判断が正しいか確認したいときに非常に有効です。Z会の通信教育や、鉄緑会などの難関校向けの塾でも、この確認方法を重視した指導が行われています。実際の問題を解く際には、まず変化の方向や式の形で予想を立て、最後にこの方法で確認するという流れが効果的です。
よくあるつまずきポイントと対策
比例・反比例の文章題では、多くの中学生が同じようなポイントでつまずく傾向があります。これらのつまずきポイントを事前に知り、適切な対策を取ることで、効率的に学習を進めることができます。ここでは、実際の指導現場で見られる典型的な誤りとその解決方法を、具体例を交えて詳しく解説します。
変数の設定ミス
最も多いつまずきポイントの一つが、xとyの設定を間違えることです。問題文で「○○をx、△△をyとする」と明示されていれば問題ありませんが、自分で設定する場合に、どちらをxにしてどちらをyにするかで混乱することがあります。
基本的な考え方として、独立して決められる量をx、xの値によって決まる量をyとすることが一般的です。例えば「ノートを買う」という場面では、自分で買う冊数を決められるので、冊数をxとし、冊数によって決まる代金をyとします。この原則を理解しておくことで、設定ミスを防ぐことができます。
もう一つの重要なポイントは、単位を明確にすることです。「時間をx分とする」のか「時間をx時間とする」のかで、式が変わってしまいます。60分=1時間という換算も必要になる場合があるため、単位には常に注意を払う必要があります。TOMAS(トーマス)などの個別指導塾では、この単位の扱いを特に丁寧に指導しています。
変数設定のミスを防ぐためには、問題文を丁寧に読む習慣をつけることが大切です。何がxで何がyなのか、単位は何なのかを、問題を解き始める前に明確にしておきましょう。メモを取りながら整理する方法も効果的です。
比例定数の計算ミス
比例定数を求める際の計算ミスも非常に多く見られます。特に、分数や小数が含まれる場合に間違いが起こりやすくなります。例えば「x=3のときy=7.5」という条件から比例定数を求める場合、7.5÷3=2.5となりますが、計算を急いで間違えてしまうケースがあります。
反比例の場合、比例定数を求めるにはxとyを掛け算する必要がありますが、これを忘れて割り算してしまう誤りもよく見られます。「x=4のときy=6」という条件から反比例定数を求める場合、4×6=24が正解ですが、6÷4=1.5としてしまうミスです。比例と反比例で計算方法が異なることを、しっかりと理解しておく必要があります。
計算ミスを防ぐためには、途中式を省略せず丁寧に書くことが重要です。暗算で処理しようとすると、ミスが起こりやすくなります。また、求めた比例定数が正しいかどうかを、元の条件に代入して確認する習慣をつけることも効果的です。例えば、比例定数が2.5と求まったら、y=2.5xにx=3を代入して、確かにy=7.5になるかを確認します。
公文式や学習塾の明光義塾などでは、基礎計算力を徹底的に鍛えるカリキュラムが組まれており、このような計算ミスを減らすことができます。日々の計算練習を怠らないことが大切です。
式の変形の誤り
反比例の式を扱う際に、式の変形で間違えるケースが多く見られます。特に、y=a/xという形とx×y=aという形の相互変換で混乱することがあります。両辺にxを掛ける、両辺をxで割るという操作を正確に行う必要があります。
例えば、x×y=24という式からyについて解く場合、両辺をxで割ってy=24/xとなります。しかし、これを誤ってy=24-xやy=24+xとしてしまう誤りが見られます。等式の性質(両辺に同じ操作をする)を正しく理解することが重要です。
また、文字式の計算規則を忘れてしまうこともあります。例えば、2×x=2xと書けることや、a/x×xを計算するとaになることなど、基本的な文字式の扱いを復習しておく必要があります。数学の基礎が不十分だと感じる場合は、小学校の算数や中学1年の1学期の内容を復習することをお勧めします。
式の変形に自信がない場合は、具体的な数値で確認する方法が有効です。例えば、x×y=24をy=24/xに変形したら、x=2を代入してみて、y=12となることを確認します。そして、元の式に戻って2×12=24となることを確認すれば、変形が正しかったと判断できます。
グラフの読み取りミス
グラフから情報を読み取る問題でも、いくつかの典型的なミスがあります。まず、座標の読み間違いです。グラフ上の点の位置を正確に読み取ることができず、x座標とy座標を逆に読んでしまったり、目盛りを間違えたりすることがあります。
また、比例のグラフなのか反比例のグラフなのかを形状から判断できないというケースもあります。比例は原点を通る直線、反比例は双曲線という基本的な特徴を、視覚的に覚えておく必要があります。複数のグラフが描かれている場合、どのグラフがどの式に対応するのかを混同することもあります。
グラフの問題では、定規を使って正確に読むことが大切です。また、グラフから読み取った値を式に代入して、矛盾がないかを確認する習慣をつけましょう。例えば、グラフから点(3,6)を読み取ったら、これが比例のグラフであれば、比例定数は6÷3=2となり、他の点も同じ比例定数になるはずです。
グラフを描く問題では、原点や軸との交点に注意が必要です。比例のグラフは必ず原点を通りますが、これを忘れて別の点を通る直線を引いてしまうミスがあります。また、反比例のグラフは軸に交わらないという性質を理解していないと、間違ったグラフを描いてしまいます。代々木個別指導学院などでは、グラフの描き方を実際に練習させる時間を多く取っています。
実践問題で力をつける
これまで学んだ知識を実際の問題で活用することで、確実な実力が身につきます。ここでは、定期テストや高校入試でよく出題される形式の問題を、段階的に取り上げていきます。基礎レベルから応用レベルまで、様々な難易度の問題に挑戦することで、どのような問題にも対応できる力を養いましょう。
基礎レベルの練習問題
まずは基礎レベルの問題から始めましょう。これらの問題は、定期テストで確実に得点するために必要な基本的な力を確認するものです。時間をかけてでも、確実に解けるようになることが大切です。
問題1:1本80円の鉛筆をx本買ったときの代金をy円として、yをxの式で表しなさい。また、x=15のときのyの値を求めなさい。
解答例:鉛筆の本数が増えると代金も増えるので、これは比例の関係です。1本80円なので、x本では80x円となります。したがって、y=80xです。x=15を代入すると、y=80×15=1200となり、15本買うと代金は1200円です。
問題2:面積が36cm²の長方形の縦の長さをxcm、横の長さをycmとして、yをxの式で表しなさい。また、x=9のときのyの値を求めなさい。
解答例:長方形の面積は縦×横なので、x×y=36という関係があります。これをyについて解くと、y=36/xとなります。x=9を代入すると、y=36/9=4となり、縦が9cmのとき、横は4cmです。
これらの基礎問題では、問題のパターンを正確に認識することが重要です。何度も解いて、自然と式が立てられるようになるまで練習しましょう。スタディサプリの基礎レベル講座や、チャレンジ中学講座の基礎問題集などを活用すると効果的です。
標準レベルの練習問題
次に、標準レベルの問題に挑戦しましょう。これらは高校入試の基本問題に相当するレベルで、確実に解けるようにしておく必要があります。
問題3:yはxに比例し、x=5のときy=20です。(1)比例定数を求めなさい。(2)yをxの式で表しなさい。(3)x=8のときのyの値を求めなさい。
解答例:(1)比例の式はy=axなので、x=5、y=20を代入して、20=a×5より、a=4です。比例定数は4です。(2)比例定数が4なので、y=4xです。(3)y=4xにx=8を代入して、y=4×8=32です。
問題4:180kmの道のりを時速xkmで走ったときにかかる時間をy時間として、yをxの式で表しなさい。また、グラフをかきなさい。
解答例:距離=速さ×時間の関係から、180=x×yとなります。これをyについて解くと、y=180/xです。これは反比例の式です。グラフは双曲線になり、例えばx=30のときy=6、x=60のときy=3、x=90のときy=2などの点をプロットして、滑らかな曲線で結びます。
標準レベルの問題では、複数のステップを踏む必要があります。焦らず、一つひとつの手順を確実にこなしていきましょう。全国の公立高校入試問題や、旺文社の参考書などで、同様の問題を数多く練習することができます。
応用レベルの練習問題
最後に、応用レベルの問題に取り組みましょう。これらは難関高校の入試問題に相当するレベルで、深い理解と思考力が求められます。
問題5:長方形ABCDがあり、辺ABの長さは12cmです。辺BCの長さをxcmとすると、長方形の周の長さがycmになります。(1)yをxの式で表しなさい。(2)この関係は比例ですか、反比例ですか。それとも比例でも反比例でもありませんか。理由も答えなさい。
解答例:(1)長方形の周の長さは、(縦+横)×2なので、y=(12+x)×2=24+2xとなります。したがって、y=2x+24です。(2)この式は、y=axの形ではなく、y=ax+bの形(1次関数)なので、比例でも反比例でもありません。比例であれば、xが0のときyも0になるはずですが、この式ではx=0のときy=24となるためです。
この問題では、比例でない関係も存在することを理解する必要があります。すべての関数が比例か反比例というわけではなく、1次関数や2次関数など、他の関数も存在します。中学2年生で学習する1次関数につながる重要な考え方です。
問題6:ある仕事をするのに、x人で行うと1人あたりy日かかり、全体では60人日(人×日)の仕事量です。(1)yをxの式で表しなさい。(2)3人で行った場合と5人で行った場合では、1人あたりの日数はどれだけ違いますか。
解答例:(1)全体の仕事量が60人日なので、x×y=60となります。したがって、y=60/xです。(2)x=3のとき、y=60/3=20日。x=5のとき、y=60/5=12日。差は20-12=8日です。
応用問題では、問題文を正確に読み解く力が試されます。「人日」という単位や、「差を求める」という問いに適切に対応する必要があります。開成高校や灘高校などの最難関校の入試問題でも、このような読解力と思考力を要する問題が出題されています。駿台予備学校や河合塾の難関校向けテキストで、同様の問題を練習することができます。
実力テストに向けた学習法
実力テストや入試に向けては、計画的な学習が重要です。まず、基礎問題を確実に解けるようにし、その後、標準問題、応用問題へと段階的にレベルを上げていきます。一度解いた問題も、時間をおいて再度解くことで、定着度を確認しましょう。
また、時間を計って解く練習も大切です。実際のテストでは時間制限がありますので、正確さだけでなく、スピードも求められます。最初は時間を気にせず丁寧に解き、慣れてきたら時間を計測して、どの程度の時間で解けるかを確認しましょう。
間違えた問題は、必ず復習することが重要です。なぜ間違えたのか、どこで間違えたのかを分析し、同じミスを繰り返さないようにします。間違いノートを作って、自分の弱点を可視化する方法も効果的です。Z会の添削指導や、個別指導塾での丁寧な解説は、このような弱点克服に非常に有効です。
最後に、実際の入試問題に挑戦することをお勧めします。過去問題集や、全国の公立高校入試問題を収録した問題集を使って、本番形式の問題に慣れておきましょう。東京都立高校や神奈川県立高校の入試問題、あるいは愛知県の公立高校入試問題など、各都道府県の問題には特徴がありますので、自分が受験する地域の傾向を把握することも大切です。継続的な努力が、必ず結果につながります。
